春夏秋冬

煌いた暁は 夢現朧月(ゆめうつつおぼろづき)
零れ堕つるは遙か未来(さき) 花霞ふわふわり

月読人(つくよみびと)の唄 聞こえくる宵闇(よる)よ
君がため手折りしは 枝垂桜(しだれざくら)
硝子箱(たからばこ)開けて 記憶取り出し
夢幻の彼方へ 解き放つ

揺らめいた陽炎は 夢現空蝉夜(ゆめうつつうつせみよ)
流れ堕つるは流星(ながれぼし) 祭唄きらきらり

天照神(あまてらすかみ)の声 感じる時間(とき)は そう
蒼天(そら)にかかる 君への約束の虹
幼き笑顔と 指きりひとつ
天から守りし 天の川

煌いた雨雫そっと 夢現曼珠沙華(ゆめうつつまんじゅしゃげ)
零れ堕つるは紅葉(もみじば)の 綾錦ゆらゆらり

星読巫女(ほしよみみこ)の愛 宴は終わらず
夕闇連れ来る哀は 孤独寝(ひとりね)呼ぶと
遠き日の空 思い出しては
恋しさ積りて また涙

揺らめいた雪花に 夢現薄氷華
流れ堕つるは滝川に 寒椿ひらひらり

空追風(そらおいかぜ)の夢 罪(かこ)も罰(いま)も抱いて
心に咲きし花は 雪割草
白い息を吐きて 澄んだ空見る
胸に宿りし想い 詠み伝わる

煌いた暁に 夢現沈丁花
廻り廻るは彩(いろ)ありし 涙雫ほろほろり