最期我侭


ボクの中にある真っ黒な心臓を、君の白い剣で抉り出して欲しいんだ。

きっと、血色の欲望が音を立てて君の目の前に現れるよ。

そうしたら、約束して欲しい。

もし本当にそうなったら、迷わずそれを踏み潰して欲しいんだ。

もう、ボクには必要ないから。

君を独り占めにしたいなんて、そんな汚い心…ボクはもういらないよ。



だって…だってね、君の涙も悲しい顔も見たくはないから。

君を悲しませる様なボクはもういらないから。




消エチャエ。消エチャエ。消エチャエ。




誰かが殺してくれるのを待つよりも、自分で首を絞めるよりも

愛した君に刺されるのなら、ボクは何も怖くないよ。


さぁ…その白い剣で…ボクを刺して?

君への愛は歪んでしまっているんだ。でもね、真っ赤な血は変わらないよ。




ボクを染めて?ボクを殺して?ボクを消して?




君は、ボクの事必要ないでしょう。

だったら今すぐに…ごめんね。
最期の我侭を許して欲しい。



ボクの中にある真っ黒な心臓を、君の白い剣で抉り出して欲しいんだ。
きっと、血色の穢れた心が、愛欲に塗れて出てくるよ。


そしたら約束して欲しいんだ。



その瞬間に、ボクを跡形もなく消してくれると。