Destiny―亡き友に捧げる約束の詩―
「風の声が聞こえる丘で、生まれ育った町を見下ろし
少年は一人 歌を歌った。
それは…今は亡き友に捧げる歌―― 」
朝陽を自分のモノにしようとして
まだ暗いうちに家を抜け出した
幼い頃は何も知らなくて
ただ笑いあっていただけだった
夢見る事を忘れた大人達は
二人を嘆いた
この先に待っている 運命(さだめ)を知って
風追い人の姿 それは遠き日の神話
傷ついても倒れても 二人 共に行こう
右手の小指絡めて 微笑んだあの日に
恐ろしいほどに血色(あか)い 月が昇ったんだ
「友の変えられぬ運命(さだめ)…それは成人を迎える日に
必ずこの世から消えてしまうという事。
友は自身の血を呪った。
そうしたところで、何も変わらないと知りながら。」
当たり前のようにこの日も僕は
あの子を迎えに行った
何も知らない僕は そう
『サヨナラ』も言えなかったんだ
夢見る事を恐れた僕は
未来を嘆いた
この先にあるはずの 運命(さだめ)を閉ざして…
夢追い人の詩 それは遠き日の伝説
傷ついて倒れたら 二人 何処へ行こう?
君が好きな赤い花を 十字架に捧げよう
切ないほどに蒼い 空が続くように
風追い人の姿 それは遠き日の神話
傷ついても倒れても 二人 共に行こう
右手の小指絡めて 微笑んだあの日に
恐ろしいほどに血色(あか)い 月が昇ったんだ
「あの時の約束を、少年は覚えていた。
『いつか二人で、あの風に乗って空を飛ぼう。
…何処までも…。』
そして今…少年は大人になる。」